ブログ

staff-blog

2021.03.08   ブログ

VR 会議の体験

はじめに

今回は、翻訳とはあまり関係ありませんが、VR(Virtual Reality)を使った会議についてお話いたします。

コロナ禍の集束がまだまだ見えない今日このごろ、Zoomを使ったオンライン会議、オンラインイベントが日本でも定着しました。そんな中、つい先日、とあるご縁でさらに進んだVR(Virtual Reality)会議を体験させていただきました。

職業柄(特許翻訳者)、VRについては何度かこれに関係する技術文献にも触れてきましたが実際に体験するのはこれが初めてです。

体験内容

VRゴーグルを頭に装着し、両手にはコントローラを持って、仮想空間に作成された会議用スペースにログインします。そうすると、今回この体験イベントにご招待くださった方たちと、アバターを使ってコミュニケーションを取れるようになります。私自身も、作成したアバターでこのスペースに登場します。表情はそのままですが、頭や手の動きや、立ったり座ったりという動作は全てアバターに反映されます。

しばらく、説明を受けながら、仮想空間での移動方法や、アイテムの使い方などを練習しましたが、わりとすぐに慣れてきました。準備されていた会議スペースは、少し分かりづらいかもしれませんが、ドラゴンボールのカリン塔(写真参照)のような空高くそびえる塔のてっぺんのような空間でした。

この空間に、会議用のテーブル、観客席、大型モニターを出して、数人が参加するビジネス会議や、大勢が参加する講義を行ったりすることができます。

プリセットのアバターを使っているもので、アバター詐欺とか言われそうですが、白いTシャツを着たイケメン風?のアバターが、私です。

感想

バーチャルリアリティと言われるだけあって、慣れてくると、あたかも自分が実際にその空間に物理的に存在するような錯覚をするようになります。

臨場感という点では、いわゆるオンライン会議とは比較にならないぐらいで、他の人もアバターではあるものの実際にその人に仮想現実の中で会っている感覚になります。

さらには、空中に図を書いたり、例えば何かの試作品の3Dモデルを出現させてそれを参加者全員で、触ったり、回転させたり、マーキングしたりと現実世界ではできないこともできたりします。アバターを一箇所に集めて記念写真を撮ることもできます。上手く伝わるかどうかわかりませんが、非常に面白い体験でした。

今回この体験にご招待してくださった方たちは、このVR会議で使用するVRゴーグルのレンタルをされている方たちです(以下、主催者と呼ばせていただきます)。

使用したVRゴーグルは台湾のHTC社製のもので、Vive Syncというプラットフォームで会議を行います。VRゴーグルは必須ではないみたいで、デスクトップからも参加できるようなのですが、やはり臨場感を出すのであればVRゴーグルは必要です。

普及に立ちはだかる壁

ただ、ビジネスシーンでの利用を考えると、色々と考えさせられることがあります。

まず、会議の参加者は基本的に全員VRゴーグルを着用することになっており、VRゴーグルは安価なものもあるそうですが、それでも数万円はかかってくるそうです。VR会議を普及させるためには、まずこれが一番のネックになるのかなと思います。こういったことから、主催者の方達はこのVRゴーグルを手の届くお値段でレンタルするというビジネスをされるそうです。

さらに、コストの問題が解決したとしても、ユーザー(参加者)が仮想空間に慣れる必要があります。初めての場合は、どうやって空間内を移動するのかもわかりません。VRゴーグルを着用して、仮想空間でしばらく何ができるのかを練習する必要があります。

VR会議のメリット

しかし、こういった課題があるにせよ、仮想空間で行う会議や、講義にはZoom等のオンライン会議以上のメリットもあります。上でも述べましたが、仮想空間にいるアバターはそれぞれそのユーザーの行動を反映します。こちらを向いているのか、他所を見ているのか、頷いているのか等のレスポンスがわかります。質問がある時に、挙手するのも実際に手を上げればいいのです。VRの環境に慣れることさえできれば、こういった手軽さは非常に注目すべき点だなと思いました。

利用価値の高そうな場面

このようなVRを使った会議が威力を発揮しそうなシーンとしては、3Dのモデルを仮想空間に映し出して、その3Dのモデルについて議論する必要がある会議、つまり現実世界で製品のサンプルを会議参加者が実際に手に触れて検討するような会議で使えそうな気がします。

グラフィックデザインの世界でも使えそうな気がします。

他にも大学やその他の学術機関の講義なんかも考えられます。現在、世界中でコロナのせいで休校となっているところも話題に上がったりしますが、例えば講義を行う機関がVRゴーグルを調達して、生徒や講義の参加者に事前に送っておき、当日参加者は全員ゴーグルを着用して授業に参加するという形になるでしょうか。VRゴーグルが普及していればこの調達の手間がなくなりますね。

その他にも、通訳を必要とする会議なんかでも、使えそうな気がします。通訳を介した会議では、話し手の発話が途切れず長くなる場合に、手を上げて合図することもできます。

ただ、通訳ではメモ取りが欠かせないので、メモ取りをどうするかが課題になりますが・・

まとめ

まとめると、敢えてVR環境での会議を行わなくても、オンライン会議やイベントでなんとかなっている事って多いと思います。費用をかけてVRゴーグルを調達し、仮想空間に参加するほどのメリットが見いだせない場合も多いかなと思います。ただ、スマートフォンの登場と同じで、スマートフォンがなくても不便は感じなかったけど、スマートフォンが浸透してから新たに出てきた利用価値というものもあります。現在ではスマートフォンがない生活ってなかなか厳しいですよね。

VR会議も似たようなもので、なくても大丈夫と思っていても、実際に浸透し始めるとVR会議でしか行えないことも出てくるのかなと思います。

私は新しいものが好きな人間なので、こういったものにはすぐに飛びつきたくなります。単に未来感があるとか新鮮とか言うのではなく、有用な形でVRが今後どのようにビジネスの世界に浸透してくるのか、非常に楽しみです。

もし、私と同様に体験してみたいという方は、今回この非常に興味深い体験をさせてくださった方へお取次ぎいたしますので、Cygnapiaまでご一報いただければと思います。

ページトップへ矢印